内閣府が2017年1月25日に掲載した「2030年展望と改革タスクフォース報告書」というものがある。
必要な改革が行われなかった場合、低成長が定常化し世界に占める日本経済のシェアが2030年には著しく低下する恐れがあるとされている。
日本経済が低迷すれば、遅かれ早かれ東京都の状況にも影響が出るのは必至であろう。
目次
5年ごとの国勢調査の結果をもとに 東京都の人口推移予想が発表されている。
以前発表された東京都の人口ピークは2020年であったが、2015年国勢調査の結果でピークは5年延びて2025年との予想が出された。2013年に2020年東京での五輪開催が決定された影響なのだろうか。
細分化してみると「区部」は2030年をピークに「多摩・島しょ」は2020年をピークに減少する予想となっている。
区部は2030年がピークというものの区により差異がある
・都心3区(千代田区・中央区 港区)のみが2040年まで増加を示している
・足立区は既に減少が始まっている
・葛飾区 江戸川区のピークは2020年
・文京区 台東区 品川区 渋谷区 板橋区のピークは2030年
・江東区のピークは2035年
・その他の区のピークは2025年
・都心3区への人口集中
・23区部は外から内へと人口が移動
・市部での減少が先行し、割合も大きい
・少子高齢化
・経済活動の縮小
・空家、老朽化住居の増加
・交通網の縮小
・空き家が目立つ
・低所得者が集まる
・交通が不便
・商店など生活に必要な環境が乏しい
・交通の便が良い
・企業、商業施設があり経済活動が活発な地域
・高所得者が集まる
・空き家が少なく、きちんと整備された住居
随分前より少子高齢化は言われてきた問題であり、働く人の数が減少することは多くの問題を発生させる。何も対処がされずに人口減少が進めば、当然現在の社会システムが維持出来なくなって来る。
現在では町中にコンビニがあるが、コンビニで働く人・物流に携わる人 そもそも 利用客が減少すれば採算に合わず コンビニの数自体が減って来るであろう。
企業数も減少し都心オフィスの空室率が上がれば、賃料の下落が発生し企業が都心部に流入するだろう。
交通網も利用客減少に伴い、本数や営業区間の縮小・廃線路線も発生するかもしれない。
高度成長期に都心部から外へ外へと拡大していった東京都の構図は、逆の動きを見せ内へ内へと集中を見せることになるであろう。
現在もてはやされているタワーマンションも管理・修繕がきちんとされていれば問題ないが、老朽化が進んだ場合はどうだろう。老朽化に伴い住み難さを感じた居住者の退去が増えるかもしれない。売却するにも買い手が付かないために管理費程度の破格の賃料で貸し出された場合、居住者の質が落ちて更に住みにくくなり退去者が増えるといったスパイラルに入り、最終的にスラム化する恐れも出てくる。
社会構造が好転し、人口増加・経済活動の維持がなされれば スラム化回避はある程度は可能であろう。
しかし人口減少・経済活動の縮小が回避出来なかった時には 住居に関して何らかの対応を国や地方自治体が長期的な視点を持って行う必要があると思われます。スラム化は突然起こる訳では無く、少しずつ進み気付いたら出来上がっているものであるから。
憧れだったタワーマンションが中古で売り出されていたら、その価格と売出物件数を注意して見てみて下さい。安い価格で多くの中古物件が出始めたらスラム化の始まりかもしれません。