「民泊」という言葉を聞くようになって もう何年が経つようになっただろうか。そして、いよいよ2018年6月15日より 民泊新法と呼ばれている「住宅宿泊事業法」が施行されることになり、民泊ビジネスも大きな変化をむかえることになりそうです。
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日本での「民泊」とは一般的に住宅の全部または一部を活用し宿泊サービスを提供することを言う。2008年にAirbnb社がサービスを始め、日本法人を2014年5月に設立されたことにより日本国内でも「民泊」ブームが加速しました。
訪日外国人観光客の増加もあり ホテルや旅館の収容客数のキャパ不足が懸念される中、「民泊」の部屋数が拡大することとなった。
「民泊」ビジネスは儲かる、そんな話から投資を始めた人も多かった。
実際、普通にマンションの1室を賃貸して得られる家賃の2倍~3倍程度の収入が期待できる物件もあるようだから「民泊」投資する人が増殖したとしても不思議ではない。
「民泊」関連ビジネス 清掃業やケータリング・家具レンタルなどを含めた経済効果は年間10兆円とも言われるほどである。
「民泊」に関して忘れてはいけないことに その違法性が挙げられる。
宿泊料(名目は何にせよ実質的に宿泊料と見做されるものを含む)を徴収し反復継続してサービスを提供する場合、旅館業法の適用を受け「簡易宿所」の営業許可を取得する必要があります。
「民泊」で部屋を提供するホストが営業許可を取得せずに運営をしている場合が多々あるということが問題視されることになりました。
違法「民泊」による問題が続々と報告されるようになりました。
例えば、宿泊客の出すごみの問題や騒音の問題、集合住宅に大きな荷物を持った見知らぬ外国人が代わる代わる現れれば、そこに住む住人は良く思わないことでしょう。
旅館業法の緩和と併せて「民泊」に関する法律 「住宅宿泊事業法」が制定され「民泊」に対する規制が本格化されることになりました。
さらに自治体によっては条例によりさらに厳しい規制を決めているところもあります。
その規制対象は「民泊」事業者だけではなく、仲介を行う業者にも及ぶ内容となっている為 観光庁の本気度が垣間見れます。
ホテルや旅館は、旅館業法により厳しく規制されております。宿泊者の安全や衛生面を考えれば当然のことでしょう。そして規制をクリアするためには設備投資や人件費を掛けていることは言うまでもありません。
一般の住宅を転用した違法「民泊」がホテル・旅館の客を持って行くことは、ある意味大きな問題です。
例えるならば、家賃を支払い店を構えて営業している飲食店の目の前で違法の屋台が安い価格で営業をし始めたら その飲食店にとって死活問題です。
「民泊」でのごみや騒音、治安への不安もあり、違法民泊対する周囲の目は厳しいです。
前述の通り、仲介業者に対しての規制も含まれた法律である為、仲介業者も違法営業するホストに対して厳しい対応を迫られることになりました。
2018年6月2日 Airbnb社は自治体の許認可等の確認が取れていない物件を削除しました。
仲介業者が届出番号等を確認せずにあっせん行為(仲介業務)をした場合には、「住宅宿泊事業法」の「違法行為のあっせん等禁止について」に抵触する。最悪、仲介業務が出来なくなる恐れがあるから仕方ない処置であると言える。
2018年6月7日 Airbnb社は自治体への許認可等の確認が取れていない物件への6月15日~19日の予約をキャンセルし、予約者に対して返金・クーポン発行・追加費用の補填する旨を公表した。
このことは、観光庁からの届出番号等の確認が取れていない物件・届出をする予定のない物件の6月15日以降の予約をキャンセルするように要望された通知に対応したものである。
今までグレーではなく明らかに違法であった「民泊」物件は、今回の「住宅宿泊事業法」の施行に伴い、厳しく排除されることになっています。
東京都中央区や新宿区では平日の民泊を条例にて制限しております。週2日の稼働では採算は取れない状況となり、民泊から撤退する方が多く出ると思われます。
年間180日の規制MAXの自治体の場合でも稼働が週3.5日では採算性は相当下がることになります。(例えば、夫婦で6カ月毎に交代で届出をした場合には同一物件で12か月稼働が出来てしまうようなら、話は別ですが。)
今後、違法民泊による逮捕者でも出ることがあれば 更に民泊ビジネスの急速な縮小が起こりブーム終焉を迎えることになるでしょう。