ワンルームマンション投資で よく聞く35年ローン。
正直、35年って思ったより長いです。平成になってから今年で30年、新年号になってから5年でようやく35年間です。
35歳の人が35年ローンを組んだとして、70歳でようやく完済です。自分が生きて来た年数分のローンを組むと考えると腰が引けてしまうでしょう。
人生100年、年金システムへの不安などなど、老後資金を考えると何かをしなければと焦ります。
そこで不動産投資、35年ローンでローン完済後は毎月家賃収入が 気軽に始められてリスクも比較的少ないなど言葉巧みに勧めてくる業者も沢山あります。
あなたは、はっきりとした35年後の姿をイメージ出来ますか?
・平均寿命から考えると、たぶんまだ生きてるだろう
・超高齢化社会となり、年金受給システムは現在とは変化してるでしょう
兎に角、お金が必要になるイメージは出来るでしょう。
それに比べて 生活の原資となる貯蓄や収入の35年後をイメージするのは難しいでしょう。
投資物件を販売する業者はリスクよりよい点を強調したがるもんです。
・2035年まで東京は人口が増加する予測
・単身世帯比率が増加してワンルームマンション需要は高い
・物件の場所は重要ファクターで東京の駅近物件は投資物件として堅い
・東京は五輪後も再開発予定が目白押し、まだまだ伸びる都市である
・建物の耐久性向上により、35年後も劣化が少なく資産価値減少は昔より少ない
・35年前の家賃から家賃下落は少ない、場所によっては上昇してる場合もあるくらい
・2035年以降の東京の人口はどうなる(35年ローン完済は2053年)
・ワンルームマンションの増加した場合、需給バランスは崩れないか
・駅から遠い物件と比べて駅近物件の優位性は期待できるが、徒歩10分程度を駅近と言っている場合には、35年後も駅近物件として通用するのか
・再開発は商業施設がメインで住居への波及がどれ程あるかは疑問
・建物の耐久性向上は認められるが、入居を決める要素としては立地などが優先されるために耐久性=空室が出ないという訳では無い
・35年前の物価や家賃相場は現在より明らかに低いので単純な金額比較は無意味である。
→大卒初任給が 1983年 約13万2千円 2018年 約20万6千円
東京都区部家賃3.3㎡当たり(民間借家)1983年 約5千円 2017年 約8千5百円
この35年間で 大卒初任給は1.56倍 東京都区部家賃3.3㎡当たり(民間借家)は1.7倍 となっていることを踏まえると 35年前の家賃6万円は現在だと約10万円という計算が出来ます。この場合は築年数が経過して古くなっても 現在6万円以上の家賃設定となっている可能性はあります。
しかしながら問題は35年後の未来の話しです。給与水準・物価は過去と同じように上昇するのでしょうか?
つまりは、物価上昇とともに家賃も上昇する場合は築年数経過による下落分を埋めてくれますが、物価レベルが変化しない場合は通常家賃は下落します。
過去実績で未来を語れるでしょうか?実際2000年以降は横ばい若しくは下降気味となっており、過去データのような動きは恐らく見込めないでしょう。
・35年後をイメージするのは難しい
・業者によっては都合の良いデータだけで未来予想をする
・市場動向、景気動向(インフレやデフレ)、金利動向等により不動産投資は影響を受ける
35年後のことは不確定要素ばかりで、予測するのは大変困難な事です。
考えれば当たり前のことですが、良い事ばかりを耳にするとついつい忘れてしまいがちです。
不動産投資も投資ですからリスクはあります、どういうリスクがあるのかを正しく把握することが大切なのは言うまでもありません。
リスクばかりを強調しては購入して貰えないのは分かりますが、敢えて良い事しか言わない業者を私自身は信じられません。
過去の話しだけでなく、35年後の話しをしっかりと説明出来る業者でなければ 35年後の将来を託すことも出来ない 私はそのように考えます。
いろいろな話しや数字を参考に ご自身が納得出来るまで検討する位の慎重さは 不動産投資には当然必要なことだと思います。
疑問に思う事、不安に感じる事は積極的に聞いて、それに対する対応がどのようなものかということも業者選定の一つの基準にしてみるのも良いかと思います。