令和元年6月3日に金融庁から出された報告書「高齢社会における資産形成・管理」の中で、年金以外に老後2000万円が必要となるという記述がかなりの衝撃を与えました 。
月5万円の赤字で年金支給開始年齢65歳から100歳までの35年間と考えると2000万円程度必要という計算は理解できると思います。
報告書が出された直後は「老後2000万円」のインパクトが大きい為、2000万円だけに注目が当てられたコメントが多く見られました。
年金だけでは十分ではないという話は以前よりありました。 退職金や貯金で不足分を補っているというのが現状です。
報告書は平均寿命が延びる予想・雇用形態の変化などにより退職金額の減少・認知症の問題なども考えた「高齢社会における資産形成・管理」について書かれています。
報告書の数字は平均を使っているが、年金支給額や収入額、支出額は個人により大きく異なる為、平均を用いてのレポートがどれほどの意味を持つかという疑問が出て来たことは仕方のない事でしょう。
老後2000万円不足問題は、投資セミナーにはうってつけの謳い文句となっております。老後に月5万円を得るために今すべきことなどと言われれば気になる人も多い事でしょう。
不動産投資、特にワンルームマンション投資は30歳で始めれば35年ローンを完済した65歳以降は毎月の家賃が得られ、その家賃額も月5万円に近い数字であるため、老後2000万円必要問題にぴったりの投資だと謳われる。
30歳で35年ローンを組むリスク、ローン完済後35年間家賃収入が確実に得られるかについて どの程度の説明がなされているのか甚だ疑問である。
2000万円のインパクト、そしてそこから生じる強迫観念は危惧されるべき事象だと言いたい。
都心でも近い将来には人口減少が予想されている現在、人口増加してきた過去の事例を実例として強調するような投資セミナーは意味が無いと思います。大事なのはローン完済までの35年間、そしてその後の35年間であり、その部分をどのように予想して説得力のある説明がなされているかを指標にして投資セミナーを受講されることをお薦め致します。