東京の未来

東京の未来(2)

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首都高 空中権

 空中権が話題になったのは、東京駅舎復元工事費500億円を空中権売却によりまかなったという出来事です。東京駅丸の内口周辺の超高層ビルは空中権購入によって実現した建物です。超一等地と言える東京駅前では、容積率を購入し総床面積を稼ぐことの経済的な効果は莫大であったことは言うまでもない。

 東京駅前の土地自体は増やそうにも増やせない、建築技術の発達により超高層建築物の建設も可能な時代では階数を増やすことによる建築費用の増加はさほど問題では無かったのだろう。基礎工事やエレベーター等の共用設備も2棟建築すれば2棟分必要だが、高さ2倍の1棟を建築すれば同様の床面積が得られ、費用も抑えられるので効果絶大と言えます。

 話しを首都高の空中権に戻しますと、首都高環状線の築地川区間や約1キロの上に人工地盤で蓋をし、空中権を売却して首都高速の改修費用に充てるという構想です。実際に実現するかどうかは分かりませんが、人工地盤で蓋をしてそこを公園や遊歩道、イベントなどが出来るような場所とする計画が進んでいるようです。

 築地川の該当地域は銀座8丁目から2丁目、首都高を挟んだ地域は築地となっており、築地市場跡地も含め再開発をする地域としては注目のエリアとなっております。もし、空中権が売却される場合 どの程度の範囲まで空中権が購入できるのだろうか。首都高からかなり離れた場所でも購入出来るとなれば、話がおかしな方向へと進む。

 現状、該当区間の周辺では、旧電通本社ビルを含む4棟が解体もされず塩漬け状態になっていたり、旧日産本社ビルや東劇ビルをはじめとする 築年数の進んだ大中小の多くのビルが点在する。空中権が売却されれば、一気に再開発の波が押し寄せることは容易に想像が付く。その再開発は大手主導で行われ、経済的恩恵の大部分を持って行くことになるだろう。

 例えば、分譲マンションで言えば 通常の容積率で建築する場合と容積率1.5倍で建築する場合を考えてみる。
 100㎡で1億円のマンション、その内訳は土地代3,000万円建物代7,000万円だと仮にします。容積率が1.5倍となると、総戸数100戸のマンションは150戸建設出来るようになります。土地の持ち分は3分の2となり、土地代は2,000万円となります。

 容積率1.5倍で1,000万円販売価格を下げられます。実際には空中権の購入価格が土地代に加えられますので、どれほど下がるかは分かりませんが 土地取得が難しい地域においてはある程度の金額を払っても有り難いことでしょう。

 基礎や共用設備などの負担も1.5倍の戸数で負担すれば建築費も維持費も1戸当たり負担額も減り、固定資産税の土地部分も減ることになります。販売会社も販売戸数が1.5倍となれば利益も増えます。容積率が緩和されることのメリットは小さくないのです。

 スケールメリットの恩恵を受ける為には資金が必要になります。つまりは大手がその恩恵に預かれる仕組みとなっております。企業ですので利益を追求することが当たり前といえば当たり前なのですが、現代において江戸時代からの名残はほとんどなくなり、画一的な街並みが広がる大東京へと変貌してしまいました。

 東京の街は人口の集中とともに変貌し続けております、東京にどれほどの愛着を持っている人が再開発を進めているのでしょうか。お金になるような開発をその都度その都度で進めていくようであれば、「東京の未来」はどうなってしまうのでしょうか。

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